理系大学生の多くは学部卒業後、大学院の修士課程に進みます。
大学院入試は学部入試と異なる部分が多いにもかかわらず、その情報が少ないため苦労する受験生が多いようです。
この記事では、早稲田大学・先進理工学研究科・物理学及応用物理学専攻へ内部進学者として受験した僕の経験を紹介します。
実際に経験した学生にしかわからない情報が多数あるので、大学院受験を控えた学生さんなどの参考になると思います。
Table of Contents
一般的な院受験の流れ(参考)
具体的な体験談の前に、まずは大学院受験の一般的な流れについて紹介します。
最近は多くの大学でTOEICなどの英語外部試験の導入が進んできているので、要チェックです。
どの外部試験が必要なのかは、出願先の募集要項などで確認する必要があります。
ちなみにほとんどの場合はTOEICです。
その辺の問題集を一日1〜2時間コツコツとやれば、そこそこ点数は上がります。
夏休みの朝などがおすすめです。
何度か受験してみて、満足のいくスコアを取ったところでやめればいいです。
僕は3年生の秋にTOIECで880点を取り、もう一度受けて830点だったところで対策を終えました。
研究室訪問に関してはネット上に様々な情報が上がっていますが、こうしなければいけないという共通のルールは存在しません。
必要なのはただただ訪問先の先生の希望に合わせることだけで、先生によって対応は実に様々です。
まずはメールなどでコンタクトを取ってみましょう。
筆記試験は問題集や過去問で勉強すれば十分です。
ちなみに、僕の使った問題集はこちらです。
この問題集は東大京大東工大東北大九州大の過去問を中心にして詳細な解答とともに求められています。
公式や定理のまとめページも存在するので、気になる方は試してみてください。
一般に、私大の出願の方が国公立より早い傾向があります。
出願書類の準備は面倒でしたね。
試験に関しても私大の方が早い傾向があります。
多くの場合、筆記試験と面接があります。
試験後一週間ほどで合格通知が行われます。
ここからは、早稲田大学先進理工学研究科物理学及応用物理学専攻を受けた時の実体験をまとめていきます。
内部生用の推薦
僕の在籍していた早稲田大学先進理工学部応用物理学科では、成績が上位2/3に入る学生に対して推薦が与えられ、大学院進学の筆記試験が免除されます。
他の学科でもおそらく同じです。
この推薦をもらった人は、一般に卒業研究で在籍している研究室にそのまま進学することになります。
ただしこの推薦は早稲田大学の大学院に合格した際に必ず進学することが条件となるため、外部を受験する予定だった僕は使いませんでした。
また推薦か筆記試験かに関わらず、内部進学時に卒業研究で在籍していた研究室とは別の研究室に進学できるとは限りません。
早稲田大学先進理工学部応用物理学科では、制度上可能でも現実的には困難でした。
というのも教授が別の研究室から移って来ることになかなか OK を出してくれなかったからです。
本来、院進の際に研究室を移ることぐらい簡単にできるべきなのですが、それができなかった早稲田の理工は開かれた自由な研究環境とは言い難いと思います。
この点は卒業生として今後の改善を望みます。
研究室配属っていつ?対策はどうすればいい?【早大生が解説】受験対策
推薦を使わないとなると、筆記試験を受ける必要があります。
内部生はまず落ちないと聞かされていたので、僕の場合はほとんど試験勉強をしませんでした。
そのせいで直前の二週間ほど焦って勉強した覚えがあります。
「万が一ダメだったら進学するとこが無くなるかもしれない」という恐怖を感じることは、精神衛生上良くないのでおすすめはしません。
ちなみにこの二週間どのように勉強したかというと、研究室のデータベースにあった過去問と先輩の解答を利用しました。
外部生は問題だけなら大学院のホームページなどで入手できますので、気になる方はチェックしてみてください。
出願
僕は卒業研究で在籍していた研究室を志望しました。
理由は、上でも書いたように、他の研究室の先生と話した結果、研究室を移ることにOKが出なかったからです。
早稲田大学先進理工学研究科物理及応用物理学専攻の当時の出願期間は、2021年5月26日~2021年6月1日(消印有効)でした。
出願書類は主に以下のような構成でした。
- 写真付きの面接シート (所定の用紙に研究計画や志望理由を記入)
- 入学検定料収納証明 (コンビニなどで支払い時にもらえる)
- 卒業見込証明書・成績証明書 (大学でもらえる)
- 英語外部試験スコアレポートのコピー
詳しくは各大学のホームページに記載されているはずです。
研究計画なんて、卒業研究もまともに始めていない学生にかける訳ありませんので、同じ研究室の先輩に今後の研究計画を聞き、それをそのまま写しました。
あるいは指導教員に聞くのもいいかもしれません。
筆記試験
筆記試験の実際の日程は、2021年7月3日(土) 10:00~13:00 でした。
会場はいつも講義を受けている部屋で、20人ほどがいました。
試験は結構難易度が高めで、僕は25%くらいしか解けませんでした。
試験後友達と話していると、同じくらいしかできていない人がちらほらいたので慰め合いました。
基準が公開されているわけではないのであくまで参考ですが、筆記試験は正解率が30%を下回ると落ちても不思議ではないです。
実際、僕と同じくらいしかできなかった友達は落ちていました。
面接
面接は筆記試験の翌日に行われることになっていて、時間は筆記試験の日に配られた紙で知らされました。
コロナ禍だったこともあり、面接は全てzoomで行われました。
面接時間を知らされる際、同時に「明日の面接では、このテーマについて説明してください」というお題が与えられます。
研究室ごとに異なるお題が与えられるのですが、そのお題はそれぞれの研究室で毎年一語一句全く同じでした。(笑)
面接では僕の在籍していた研究室の先生の他、二人ほど、同じ部類に属す別の研究室の先生がいて、事前に用意していたパワポで与えられていたお題に関する5分ほどの発表を行いました。
このパワポも研究室のデータベースで代々受け継がれているものをアレンジしただけです。
面接は全部で10分ほどでした。
全体的に極めて事務的で、先生方も「下手に難しいことを聞いて学生が答えられなかったら困る」と考えているような印象を受けました。
この時の面接についてさらに詳しく紹介している記事もあるので、参考にしてください。
合格通知
試験から約一週間後、試験結果が通知されました。
結果は合格でした。
筆記試験で25%ほどしか解けなかったのに受かったと言うことは、やはり内部生には相当有利なシステムなんだと思いました。
上でも書きましたが、テストで僕と同じかそれ以下の点数を取ってしまった友達の内の1人は面接でかなりボコボコにされたらしく、不合格を食らっていました。
これで内部生でも落ちる時は落ちると言うことがはっきりしました。
内部生で余裕だと思ってなんの対策もしていない人は少し気をつけた方がいいです。
大学院受験の実態
大学院受験は学部受験と違って合格基準が大学によってまちまちで、公開されていないことが多いです。
そのため、上記のように外部生より内部生の方が有利だと言うこともザラにあります。
とにかくわからないことが多すぎるのです。
自分で調べる力が必要になるということを覚えておいてください。
また、周りの先輩や友達をできる限り活用しましょう。
まとめ
- 私大は推薦が使えることがある。
- 私大院の入試プロセスは国公立院より一足早い。
- うわさ通り、内部生は外部性よりもかなり有利。
- ただし私大院でも、油断しすぎの内部生は普通に落とされる。
- 大学院受験は合格基準がわからないことが多い。