アメリカ大学院出願などの際に使うWESですが、このサービスを使うとGPAが上がるという噂がありますが、本当でしょうか。
この記事では僕の実体験をもとにWESで成績は上がるのか?について解説します。
Table of Contents
WESとは
WES(World Education Services)とは、アメリカやカナダの大学院などに出願する際に、日本の大学の成績証明書を出願先の国の基準に変換してくれるサービスです。
アメリカの大学院に出願する際に利用する、という方が多いのではないでしょうか。
アメリカのGPA
アメリカのGPAは4ポイントスケールになっており、ほとんどの大学院がGPA=3.0以上を出願の条件にしています。
トップ校ではGPA=3.5以上ないと、よっぽどのことがない限り合格は難しいと言われています。
日本の大学と違ってGPAの基準が高いことから分かるように、おそらくアメリカの大学で日本の大学より高いGPAが取りやすくなっているのだと考えられます。
日本ではGPAが後々必要になることなんてまずありませんから、GPA対策をしてこなかった人が多いのではないでしょうか。
著者の経験
僕は学部時代に早稲田大学先進理工学部に所属し、GPA=2.70という至って平凡な成績で卒業しました。
もともとアメリカ大学院進学に関して興味は持っていましたが、アメリカ基準では3以下のGPAは落第レベルなので出願は無理だろうと思って諦めていました。
WESの存在自体は知っていましたが、僕の在籍していた早稲田大学はアメリカと同じく4ポイントスケールのGPAを導入していたので、WESを通したところでGPAが変化することはないだろうと決めつけて、利用しませんでした。
ただ、あるきっかけでダメ元でも出してみおうと思い、WESを利用したところ
GAPが 2.70 から 3.54 に跳ね上がりました。
早稲田大学では4ポイントスケールのGPAを導入していたのにもかかわらずです。
流石にこれには驚きました。
ちなみにいかが早稲田大学のGPAの凡例です。
確かに4ポイントスケールになっていることが確認できます。
次にWESのGPAの凡例です。
帰ってきた報告書をみたところ、早稲田のGPAは以下のように変換されていました。
・A+ (GPA=4.0) ➡︎ A (GAP=4.0)
・A (GPA=3.0) ➡︎ A (GPA=4.0)
・B (GPA=2.0) ➡︎ B (GPA=3.0)
・C (GPA=1.0) ➡︎ C (GPA=2.0)
つまり、この対応関係でいくとざっとみて1程度GPAが上がる計算になり、上で見たように確かにそうなっていました。
WESを通せばGPAは上がるのか
僕の体験談から、またネット上の情報からも明らかなように、WESを利用することで
ほとんどの場合日本の大学のGPAは上がると考えてようでしょう。
なぜGPAが上がるのか
はっきりとしたことはWESしかわかりませんが、主に2つの仮説が考えられます。
仮説1
日本の大学の成績の取りやすさと、アメリカの大学の成績の取りやすさの違いを反映している
仮説2
テストにおける得点や順位よりも、AやBというアルファベット表記を参考に変換している
仮説2は僕の実体験に基づいた考察ですが、そもそも日本の大学がテストでの得点のしやすさを反映してAやA+といった表記を決めている可能性があるので、この仮説は十分あり得ると思っています。
少なくとも僕の成績の変換方法を見る限り、アルファベットの種類がそのまま対応付けられていました。
WESはどの大学院でも使えるのか
ここまできて残念ではありますが、ランキングの上位の大学院になるほど、WESによって変換された成績書を受け付けない傾向があります。
もし、留学の目的が、経歴の箔付けであるような場合は自ずとトップ大学に出願することになるでしょうから、WESは当てにできないかもしれません。
ただ、その後の就職のことを考えて、などといった理由であれば、中堅どころで知名度もある大学がWESを受け付けているケースは全然あるので調べてみてくださいね。
WESを受け付けない大学院は海外の成績をどう評価しているのか
ここがなかなかブラックボックスで、気になっている人も多いと思います。
果たしてWESを受け付けない大学院はちゃんと日本の大学の成績の取りにくさを考慮してくれているのか?
おそらくですが、トップ校を含めWESを受け付けないと宣言している大学のほとんどがちゃんと内部で海外の成績書を独自に変換しています。
University of California Irvine (UC Irvine) という大学をご存知でしょうか?
かの有名なUCLAと同じ大学群に属す有名大学です。
この大学はWESを受け付けないと宣言していますが、僕はネット上で面白いものを見つけました。
それはUC Irvine の成績変換基準です。
これを見れば内部でどんな変換がされているのか知ることができます。
数多くの海外大学がリストされていますが、そのうち日本の大学からは東京大学・大阪大学・愛媛大学の3校がリストされています。
試しに4ポイントスケールを導入している大阪大学を見てみましょう。
これはそのサイトからとってきた記述です。
アルファベットではなくテストにおける得点率になっているところが少しややこしいですが、つまりはこういうことです。
・S (GPA=4.0) ➡︎ GPA=4.0
・A (GPA=3.0) ➡︎ GPA=3.6
・B (GPA=2.0) ➡︎ GPA=3.0
・C (GPA=1.0) ➡︎ GPA=2.0
この場合も、もともと4ポイントスケールであるにも関わらず、変換後にGPAが1近く上がることを意味しています。
これはあくまで一例ですが、少なくともトップ校の一つがこのような基準を持っているということがわかったことで、他のトップ校にも似たような仕組みがあると考えることができます。
もし出願したい大学院がWESを受け付けておらず出願するかどうか迷っている場合は、一度ダメもとで出願するだけでもしてみましょう。
WESが提供する主な2つのプラン
WESは大学院出願用の成績変換サービスとして2種類のサービスを提供しています。
・Course by Course Evaluation
・Document by Document Evaluation
おすすめは Course by Course です。
Document by Document だとGPAの変換や履修した授業の一覧が含まれないと書かれています。
料金はその分高くなりますが、GPA変換などがなければ使う意味がないので、特段の理由がない限りCourse by Course 一択だと思います。
WESを利用するときの手順
細かい手順を1から説明するということはせず、ざっくりとした全体像を紹介します。
成績書の厳封処理は大学側に頼めばやってくれます。
それと、この段階で出願大学が決まっている場合は、成績証明書の評価が終わった後にそのままその大学に評価後の成績書を送ってもらうように事前登録することができます。
この事前登録をしていないと、後で追加料金、確か一校につき$30くらいを支払う必要があります。
すでに学位を取得している場合は、学位証明書の提出も必要ですが、成績証明書とは違いスマホなどでスキャンした写真をオンラインで提出すればいいだけなので簡単です。
僕の場合はコロナの影響でWESに成績書が到着するまで1ヶ月近くかかってしまいましたが、一度書類が到着すると後は案外早かったです。
出願先大学へ自分でWESの成績証明書を送るということはありません。
サービスの申込時に送付先の大学を選んでいる場合は、評価が終了した段階で自動的にその大学にオンラインで評価後の成績証明書が提出されます。
後から新たに提出先を追加することもでき、その場合も同様にWESからオンラインでその大学に評価後の成績証明書が提出されます。
提出はオンラインで行われるため、数日で完了します。
適宜、出願先大学のApplication Status を確認して、書類が到着しているか確認しましょう。
まとめ
・日本の大学のGPAはWESを通すことで上がる可能性が高い
・出身校が4ポイントスケールのGPAを採用していたとしても、やはり上がる可能性あり
・WESの評価作業は約1週間で完了する